はじめに
就活で企業の選考を受ける際にSPIを受検する機会があるのではないでしょうか。
SPIに出題される問題は中学卒業レベルですが、通常の授業ではあまり見かけない問題もいくつか見受けられるはずです。
実際、SPIをまったく勉強せず初めて受けてみると、慣れない問題に苦戦したという声も聞きます。
能力検査は国語や数学に近い内容のため見慣れた問題もあるかもしれませんが、性格検査は学校で習う機会は滅多にないはずです。
就活を成功させ、希望の企業に入社するためにもSPIの問題に慣れておく必要があります。
問題に慣れるには実際にSPIの問題例を見てみることが重要です。
SPIの言語問題の問題例
SPIには言語問題や非言語問題、性格検査の3つを中心に英語、構造的把握力など複数の問題範囲があります。
今回は特に重要な言語問題、非言語問題、性格検査の問題例を見ていきましょう。
言語問題は大まかに分けて6つの科目に分類され、出題範囲も固定されがちなはずです。
二語の関係
二語の関係は問題に提示された二語の関係を考え、選択肢から同じ関係のものを選びます。
問題例最初に示された二語の関係と同じ関係のものを選べ。部屋:掃除ア、草木:伐採イ、整理:整頓ウ、衣類:選択解答:アとウ |
二語の関係では関係性を読み解くことが重要なのではないでしょうか。
関係性はAがBを含むもの、対立する意味、同一の意味、役目、原材料などさまざまです。
二語の関係の読み取りは、問題集を解くことでパターンを理解しましょう。
熟語
問題文に出された熟語の意味を答えます。
知識がものを言いますが、熟語から読み取って問題を解ける場合もあります。
問題例下記の文と意味が最も合致するものを選べ。物事の意味、本質を理解すること
ア、習得 イ、会得 ウ、納得 エ、了承 オ、把握 解答:イ |
熟語に関しては知っているかどうかなので、暗記が必要になるはずです。
暗記してしまえば、解答はスムーズに出せるため時間短縮に繋がります。
語句の用法
語句の用法は、指定された語句が同じ意味で用いられている文を選択肢から解答するものです。
問題文に対象となる文が出題されるため、その文で使用されている語句と近い意味で使われている文を選びます。
問題例下記の文と意味が最も近いものを選択肢から選べ。
腕をおろす ア、魚をおろす イ、三枚におろす ウ、客をおろす エ、旗をおろす オ、主役をおろす 解答:エ |
出題されている文をよく読み、意味合いを理解すれば解くのは難しくないはずです。
例題のように漢字が日本語に直されている場合もあるため、漢字にしてみると意味が分かりやすくなるのではないでしょうか。
文の並べ替え
文の並べ替えでは、数個の文章をつなげて正しい順番に並べる必要があります。
1つ1つの文章を読み解き、内容をつなげて違和感がないようにしてください。
問題例次のアからオを意味が通るように並べ替えたときに、3番目と5番目にくる文の組み合わせを選べ。
ア、現在では企業の2社に1社が採用しており、採用実績は右肩上がりだ。 イ、その前身となるリクルートテストが1963年に開発されている。 ウ、SPIが開発されたのは1973年である。 エ、SPIは日本初の適性検査であり、企業の選考に使用されている。 オ、これからもSPIは広く採用されていくだろう。 解答:イとオ |
文章をつなげた後、読み直してみて違和感がないかを確認するのがおすすめです。
また、文頭と文末にくる文章を見つけ、一文の始まりと終わりをはっきりさせるのもおすすめします。
接続詞や指示語などがあれば、文章のつながりを見つけやすいです。
空欄補充
空欄補充は文章の一部分が空欄になっており、その空いた部分に正しい文章や言葉をあてはめる問題です。
空欄補充も文章をよく読み、全体を理解する能力が求められるのではないでしょうか。
問題例文中の空欄に入る最も適切な言葉を選べ。
適性検査は企業が求める人材を性格面、能力面から()するのに活用します。 ア、把握 イ、選別 ウ、識別 エ、獲得 オ、除外 解答:ア |
単語を埋めてみて自然な流れになるか確認すれば、解きやすくなるはずです。
長文読解
長文を読み、設問に解答する問題です。
内容は評論文や随筆が出題されることが多く、長文のため他の問題より解答時間を要する場合があります。
文章を読み解く能力が求められるため、読解力が必要なのではないでしょうか。
また、限られた時間の中で長文を読まないといけないため、速読ができるかも重要なはずです。
問題例次の文章を読み(a)、(b)、(c)にあてはまる組み合わせを選択肢から選べ。
SPIを受検する方法の1つにテストセンターがある。テストセンターは(a)で受検することができず、指定された会場や専用のパソコンを使って試験を受ける。 そのため学生によっては実力を発揮できない者もいる。 テストセンターは多くの企業が採用しているため、就活の中で経験する機会もあるだろう。 このテストセンターの対策を実施し、希望の企業に入社する必要がある。 テストセンターの結果は複数の企業で使い回しが可能なため、1度受ければ次の企業選考でも使えるのが大きな(b)だ。 もちろん、何度受検しても構わない。 受検してみて納得のいく結果だったものを提出するのがいいだろう。 ただし、テストの結果は上書きされてしまう。 最初に受けたテストの後に2回目のテストを受けた場合、最初のテスト結果を企業に提出することはできない。 何度も受検する場合は慎重に考えよう。 テストセンターに限らないが、問題数と比べて制限時間が短い。 1問に対して時間をかけている余裕はないので、いかに速く(c)に解けるかがポイントとなる。 そのためには問題を繰り返し解いて慣れていくしかないだろう。 問題集を使って対策をしていこう。 ア、(a)学校 (b)アドバンテージ (c)迅速 イ、(a)外 (b)メリット (c)綿密 ウ、(a)自宅 (b)ポイント (c)的確 エ、(a)自宅 (b)メリット (c)正確 解答:エ |
長文内の空欄を埋める問題や、文章中に出てきた内容の意味、文章中で伝えたかったことなどさまざまな問題が出題されます。
文章を読めば理解できる問題が多いものの、時間がかかりそうな場合は飛ばしたり後回しにしてペース配分を考えることも重要でしょう。
SPIの非言語問題の問題例
非言語問題では数学を扱います。
出題される問題形式は言語問題より多く、公式が分からないと解けない問題もあるはずです。
まずは公式を覚え、どのような問題が出題されるのかを把握していくと、本番でも高得点を取りやすくなるのではないでしょうか。
非言語問題も制限時間が少ないため、速く正確に解く能力が要求されます。
推論
X、Y、Z、V、Wの5チームがサッカーのリーグ戦をおこなった。結果について以下のことがわかった。
Ⅰ YはXにだけ勝った。
Ⅱ Vは1勝3敗であった。
Ⅲ ZはXに勝った
すべての勝敗が確定をするためには、Ⅰ〜Ⅲとは別に、次のア、イ、ウのうち最低限どれが加わればよいか。AからHで1つ選びなさい。なお、引き分けはないものとする。
ア Xは2勝2敗であった。
イ 全勝のチームはいなかった。
ウ WはZに勝った。
- アだけ
- イだけ
- ウだけ
- アとイ
- アとウ
- イとウ
- アとイとウ
- 正しい推論はない
解答:イだけ
IからIIIを踏まえた状況を示した以下の勝ち負け表を参照する。
X | Y | Z | V | W | |
X | ⚫️ | ⚫️ | ○ | ① | |
Y | ○ | ⚫️ | ⚫️ | ⚫️ | |
Z | ○ | ○ | ○ | ② | |
V | ⚫️ | ○ | ⚫️ | ⚫️ | |
W | ① | ○ | ② | ○ |
ア Xは2勝2敗であった。 ←①は確定するが、②は確定しない。
イ 全勝のチームはいなかった。←②が確定(WがZに勝った)し、①も確定(XがWに勝った)する。
ウ WはZに勝った。←②は確定するが①は確定しない。
したがってイだけ判明すれば、全勝敗が確定するため、正解はBとなる。
割合
ある中学では、東京への修学旅行の際に1日目と2日目の行き先をそれぞれ選択肢の中から選べる。選択肢は、皇居、浅草寺、東京タワー、銀座、お台場である。下の表は、ある学年の生徒300人の選択状況を示したもののうち一部を示したものである。例えば、1日目に皇居に、2日目に東京タワーへ行くことを選んだ人は24人いる。
1日目に皇居に行った生徒のうち40%が2日目にお台場を選んだということがわかった。その人数を求めよ。
選択肢
- A 16
- B 24
- C 32
- D 36
皇居 | 浅草寺 | 東京タワー | お台場 | 合計 | |
皇居 | 2 | 16 | 22 | 30 | 70 |
浅草寺 | 22 | ( ) | 12 | 28 | 65 |
東京タワー | 24 | ( ) | 8 | 33 | 77 |
お台場 | ( ) | ( ) | ( ) | 8 | ( ) |
合計 | ( ) | 48 | ( ) | 99 | 300 |
解答:C
1日目に皇居に行った生徒数をxとおくと、問題文より2+22+24+0.4x=xの公式ができる。これを解くとx=80。正解は0.4x=32のCとなる。
皇居 | 浅草寺 | 東京タワー | お台場 | 合計 | |
皇居 | 2 | 16 | 22 | 30 | 70 |
浅草寺 | 22 | (3) | 12 | 28 | 65 |
東京タワー | 24 | (12) | 8 | 33 | 77 |
お台場 | (32) | (17) | (31) | 8 | (88) |
合計 | (80) | 48 | (73) | 99 | 300 |
確率
XとYの2人がくじをひく。そのくじは1等賞が当たる確率が1/20、3等賞の当たる確率が1/5である。XとYのうち片方が1等賞、もう片方が3等賞を当てる,という事象が起きる確率を求めよ。
選択肢
- A.2%
B.4%
C.5%
D.19%
解答:A
Xが1等賞を当てる確率が1/20, Yが3等賞を当てる確率が1/5なので、
Xが1等賞、Yが3等賞である確率は、1/20*1/5= 1/100であり、Xが3等賞、Yが1等賞である確率も同様に1/100なので、求める確率は、1/100*2= 2/100, すなわち2%
速度算
P及びQの歩くスピードは、Pは8km/時、Qは7km/時である。Pは学校から図書館まで24分かかる。Pが学校から図書館へ、Qが図書館から学校へ向かって同時に歩き始めた時、2人が出会うのは何分何秒後か求めよ。
選択肢
- A.8分30秒
- B.8分48秒
- C.12分30秒
- D.12分48秒
解答:D
学校と図書館の距離は、Pが学校から図書館まで24分かかることから、
8×24/60=3.2km
である。また、PとQの速度の和は8+7=15km/時であるのでこの速度で2人の距離が縮まるということだから、2人が出会うまでの時間は、3.2/15= 16/75時間。つまり12分48秒かかる。
金額計算
P、Q、Rの3人がレストランでランチ会を開催し、その後カフェに行った。
レストランのランチ代合計8,400円は全額Pが出し、カフェの代金3,200円はQとRが半分ずつ出し合った。
後日再度ランチ会を実施し、その際にQがランチ代金を全額支払い、カフェの代金2,800円をPとRで半分ずつ支払った。この時点で、Rのこれまでの負担額はPのこれまでの負担額と等しくなることがわかった。
3回目もランチ会の後にカフェへ行くこととなった。また3回目を終了した時点で、これまでの支払い総額をP,Q,R3人で等しくすることに決めた。さらに3回目終了時の負担額を最大で12,000円とすることも決めた場合、3回目のランチ代は何円までに収めれば良いか。
選択肢
- A.8,000円
- B.8,200円
- C.8,400円
- D.9,000円
- E.9,600円
解答:D
1回目の負担金額
Pが8,400円、Qが1,600円、Rが1,600円。
2回目の負担金額
Pが1,400円、QがX円、Rが1,400円。
PとQはここまでに同額を支払っているので、Rが3回目のランチ代を全額支払って、Pの3回目までの支払い総額と同様になるよう、PとQがカフェ代を同額支払えば、P,Q,Rの支払い総額が等しくなる。
3回目のランチは12,000-(1,600+1,400) =9,000円以内に収めれば良い。
仕事算
ある書類の処理を全て終わらせるのに,Xは4日間、Yは6日間かかる。この処理をXとYの2人で行う場合、全て終わらせるのは何日目か。
なお2人で処理する場合も時間あたりの処理量は変わらない。
選択肢
- A 2日目
- B 3日目
- C 4日目
- D 5日目
◎解答
正解はB。
処理しなければいけない全部の量を1と考える。
するとX、Yそれぞれの1日あたりの仕事量は、
X : ¼
Y : ⅙
2人で一緒に処理をする場合、1日の処理量は
¼ + ⅙ = 5/12である。
である。
仕事を終えるには2と⅖ 日。すなわち3日目に終了する。
集合
クラス46人に対して、通学時に電車、バスを利用するかどうかに関してアンケートを取ったところ、電車を使う人が28人、電車もバスも使わない人が5人いた。
バスのみで通学している人は何人か。
- 選択肢
A 7人
B 13人
C 18人
D 23人
◎解答
正解はB。
ベン図を利用する。(図は省略)
46 – 5 -28 = 13 人
場合の数
箱の中にはそれぞれ赤色、青色、緑色のボールがたくさん入っている。この中から2つのボールをランダムに取り出すときの選び方は何通りか。ただし、同じ色のボールの区別はつかないものとする。
選択肢
- A.3
- B.6
- C.9
- D.12
【解答】
正解:B
2つ同じ色のボールを取り出す場合と、違う色のボールを取り出す場合で場合分けする。
同じ場合:色は3種類なので3通り。
違う場合:3種類の色から2つ選ぶので、
3C2= 3通り。
以上より3+3= 6通り。
SPIの性格検査の問題例
性格検査は能力検査と異なり、正解がないため公式を覚える必要はありません。
しかし、自己分析ができていなければ回答に矛盾が生じたり、制限時間以内に終わらないケースもでるのではないでしょうか。
性格検査もどのような問題が出題されるのか確認をしておき、素早く矛盾のない回答を目指すと回答を埋めやすいはずです。
問題例1以下の質問にあなたは考えや思考はどの程度あてはまるか。
A、静かな場所が好きだ B、賑やかな場所が好きだ Aに近いどちらかといえば Aに近いどちらかといえばBに近い Bに近い |
問題例2以下の質問にあなたは考えや思考はどの程度あてはまるか。1、あまり欲はないほうだ2、何事も引きずりやすい方だ3、新しいことに挑戦したい方だ4、誰とでも仲良くできる方だ5、感情を抑えられない方だあてはまる
どちらかといえばあてはまる どちらかといえばあてはまらない あてはまらない |
例題のように日常的な場面における思考を聞く問題が多数出題されます。
1問1問の回答は簡単ですが、約300問を短時間で答えていく必要があるため、あらかじめ問題例を確認して躓く箇所がないようにしましょう。
SPIの問題例はひたすら問題集を解く
SPIの問題例は傾向があることが多く、毎年出題範囲をまとめた問題集が販売されています。
問題集に載っている問題を解いていけば、いくつかの問題は本番でも出題されるはずです。
多くの問題例に目を通し、解き方を学んでいけば自ずと高得点を狙えるのではないでしょうか。
範囲が広かったり、パターンが多くて苦戦する科目は後にして、得点を狙いやすい科目を重点的に学ぶのもおすすめします。
参考書を見て公式を覚えるよりも、実際に問題を解いてみるといいでしょう。
まとめ
SPIにおける能力検査、性格検査の問題例を確認してきました。
SPIならではの問題も出題されたりするため、前もって問題例を確認し、対策を立てていきましょう。
問題集を解いていけば、さまざまな問題例に目を通せるはずです。
公式やパターンを覚え、SPIで高得点を取り、希望の企業からの内定を勝ち取りましょう。