はじめに
SPIの性格検査では、約300問の日常行動や考え方に対する質問へ解答します。
性格検査の結果は、日常における人との接し方や仕事への取り組み方、目標の持ち方などを判断する材料として用いられることが多いです。
受験結果は、応募者の性格的な特徴を知り、業務に活用するために使用されます。
企業はSPI性格検査の結果を受けて、自社が求める人材像と応募者の特徴が一致するかを見ており、面接だけでは判断できない受験者の内面を確認していると言えるでしょう。
性格検査を受験する際には、自分を取り繕って偽った情報を入力する必要はありません。
自分を良く見せようと偽りの情報で解答すると、適応しにくい部署への配置が決定される可能性があるからです。
例えば人間関係において、複数の人と接するのが得意な人は営業活動をすることが考えられます。SPI性格検査の結果で嘘の情報を入力し、人間関係が社交的と判断されていると複数の人と接する部署に配属される可能性が高まるでしょう。
逆に人間関係が苦手だと判断された場合、事務職など人と接することが少ない部署に配属されやすいと言えます。
SPI試験の結果により入社基準を定める企業は多いですが、性格検査は入社後の配属先を検討する材料として用いられることが多いといえます。
本記事では、企業がSPI性格検査で何を見ているかも解説します。
SPI性格検査の問題例
SPI性格検査の問題例を紹介します。
問題例1
以下の質問は、あなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。
A.一人で旅行するのが好きだ
B.みんなで旅行するのが好きだ
A.買い物では良いと思ったらすぐ購入する
B.気に入っても一度店を出て考え直す
A.勝負は時の運だ
B.勝負は努力の結果だ
A.気が合うのは想像力のある人だ
B.気が合うのは実行力のある人だ
A.嘘も方便である
B.うそはついてはいけない
〔選択肢〕
Aに近い
どちらかといえばAに近い
どちらかといえばBに近い
Bに近い
問題例2
以下の質問はあなたの日常の行動や考えにどの程度あてはまりますか。
最も近い選択肢を1つ選んでください。
- さまざまな場所に行くことに興味がある
- 継続は成功の鍵である
- 欲はそれほど強くない
- 失敗からの回復が速い
- 新しい体験には積極的に挑戦したい
〔選択肢〕
- あてはまる
- どちらかといえばあてはまる
- どちらかといえばあてはまらない
- あてはまらない
どの問題も正解が存在するものではなく、あなたの考え方を知るための設問です。
そのため、深く考えすぎずに直感的に解答するようにしましょう。
SPI性格検査例題の具体的な内容
SPI性格検査には、個人の性格や適性を把握するための設問が含まれています。
主に含まれているのは、以下のような項目です。
・自己理解
・対人関係
・仕事のスタイル
・ストレスへの耐性
・マルチタスク能力
・意欲・モチベーション
それぞれを評価するための問題が出題されます。
各項目の特徴を具体的に説明します。
自己理解のための例題
自己理解のための検査例題では「自分がリラックスできる環境」や「行動の傾向」を探る問題が出題されます。
例えば「多くの人が集まる場において、話題の中心になることが多いか」や「一人でいる時間を大切に思うか」などの設問です。
これらの解答を通して、受験者の内向性や外向性を把握していると言えるでしょう。
自分自身の行動を客観的に見つめ、どのような環境や状況で最も活躍できるかを知ることが大切です。
対人関係を測る問題
対人関係を測定する問題では、人とのやり取りにおける態度やコミュニケーションスタイルを評価しています。
例えば「困っている人を見かけたとき、どのように行動するか」や「意見が対立した際、どのように解決に向かうか」などの問題が出されるでしょう。
これらは共感性や協調性、説得力やリーダーシップなどの特性を判断しています。
実際の職場環境を想定した場面で、自分がどのように振る舞うかを振り返り、人間関係の構築における自分の長所と短所を明確にしておきましょう。
仕事のスタイルを知る問題
仕事のスタイルを知る問題は、以下のような設問です。
・締切に間に合わせるためにどう行動するか
・チームプロジェクトにおける自身の役割
これらの問題は「問題解決能力・計画性・責任感」などの職業的資質が判断されています。
さらに効率的にタスクを進めるための工夫や、仕事における柔軟性、個人業務に対する真剣さも把握されていると考えられます。
仕事に対する自分の考え方を知り、適性を知る手掛かりになります。
ストレス耐性を測る問題
ストレス耐性を測る設問には、以下のような問題があります。
・予期せぬトラブルが起こった時の対処法
・プレッシャーが強い状態下での感情コントロール
緊張感が高まる状況でも落ち着いて行動できるか、自己制御ができるかなどの特性が判断されています。
冷静さや困難を乗り越えるための調整力も評価対象になり、ストレスに強い人材は多くの職場で重宝されると言ってよいでしょう。
しかしストレス耐性が低い人には、適切な職場環境が与えられる場合もあり、偽りのない解答が求められます。
マルチタスク能力を測る問題
マルチタスク能力を測る問題には次のようなものがあります。
・複数の仕事を同時にこなす際の優先順位
・限られた時間内でのタスク完遂方法
効率的に作業を進めるための個人的な戦略や、やるべきことの整理整頓ができる人材かが判断されています。
時間管理能力や迅速な判断力も重要なポイントになるため、複数の業務を遂行できる実力をアピールできる項目です。
意欲とモチベーションを測る問題
意欲とモチベーションに関する問題は次のようなものです。
・新しいプロジェクトへの参加意欲
・困難な課題への取り組み方
自己成長への興味度合いや、挑戦する精神を把握されています。
また目標達成のためにどれだけ努力できるかなど、目標への考え方を評価する項目もあります。
日常の業務に対する意欲を見られる問題ですので、自己分析を通して解答を考えておくことが求められます。
SPIの性格検査で企業が知りたいことは?
面接に呼ぶ応募者の優先順位を決める
SPIの性格検査は、面接に呼ぶ応募者の優先順位をつけるために活用されています。
企業が履歴書などで判断できる情報は少なく、短時間の面接で人となりを詳しく知るのは不可能でしょう。
そのためSPIの性格検査を用いて、数値的に性格等を知る努力をしています。
日本では新卒一括採用が基本ですので、多くの人材の中から企業とマッチする人材を見抜くのは至難の業といえるでしょう。しかしSPI性格検査を用いることで、数値的にマッチする人材を選べます。
成績上位者から面接するように案内したり、面接時間を多めに設定したりしています。
面接の補助ツールとして利用する
SPIの性格検査は、面接における人材理解の参考資料として活用されています。
短時間の面接で応募者に詳しい質問をするのは難しいため、何を聞くかを検討するためにSPIを用いることもあります。
例えばSPIを用いていない場合「旅行は好きですか?」などの質問をする可能性がありますが、SPIの結果を用いれば既に質問に解答されています。
そのため、無駄な質問を省くことができ、実際の業務に関連する内容で質問する時間を確保することができます。
面接時における補助ツールとして、SPIを活用している企業は多いです。
内定者に対する相互理解促進ツールとして利用する
SPIは内定者の自己理解や内定者同士の相互理解を深めるツールとして活用されることがあります。
SPIの結果を内定者同士に見せることで、他者からフィードバックされる内容により相互理解が深まります。
例えばグループディスカッションを行う際、グループのメンバーにSPIの結果を共有します。
すると数値的に他者の得手不得手が判断できるため、得意分野をもつ人材にリーダー素質があるか否かを判断することができるでしょう。
また苦手分野がある人でも、自分の苦手を補うためのスキルを身に着けていることもあります。他者とSPI結果を共有しながら、相互理解を深めた上で相乗効果を期待する企業が採用しているSPI活用方法です。
配属先の検討材料として用いる
SPIは入社後の配属先を決めるために用いることが多いです。
会社内の配属先により、能力を発揮できない人もいるからです。
組織の雰囲気や仕事内容は異なるため、仕事経験がない新人にとって、慣れない環境でも力を発揮するのは難しいものでしょう。
ストレスなく仕事に打ち込んでもらうためにも、適材適所を意識した配属先を検討する企業は多いといえます。
そのためSPIを活用して、応募者の特徴を知ることで配属先の決定をおこなっています。
新人フォローに利用する
SPIは新人を受け入れる上司に共有していることもあります。
新人を受け入れる上司は、世代の異なる人間の扱いに慣れていないことも多いからです。
配属先の上司との関係性は、新人に大きなストレスを与える可能性が高く、良い人材ほどストレスが少ない環境を選ぶと言われています。
また採用しても即退社を希望する人も多いことから、ストレスが少ない環境で仕事をするための配慮がおこなわれます。
SPIの結果により判断された性格を元に、新人をフォローするために配属先上司へ情報を伝えることも多いでしょう。
SPIの性格検査が難しい理由
SPIの性格検査が難しいと言われる理由には、以下が考えられます。
・正解がない
・同じような問題が繰り返される
・一問ごとの解答時間が短い
それぞれ解説します。
正解がない
SPIの性格検査は、正解がない問題が出題されます。
性格が異なることを判断する検査ですので、正解を求める問題は出題されません。
普段の自分が考えていることや、行動に近いものを選択する問題です。
どれが正解かを考えるのではなく、普段の自分ならどんな行動をするかを考えながら解答しましょう。
上記で解説したように、企業は入社後の配属先を検討している場合があります。
そのため、誤った情報でテストを受けてしまうと、入社後にストレスを感じやすい配属先に入れられてしまうかもしれません。
同じような問題が繰り返される
SPIの性格検査では、同じような問題が繰り返し出題されます。
例えば「旅行は好きか?」や「旅行には頻繁に行くか?」など、表現が異なるだけと感じる問題も少なくありません。
そのため、精神的にイライラしたり、解答する意味を感じなかったりすることもあるでしょう。
しかし解答速度や解答により、それらの精神的な変化を見ているのがSPIの性格検査と言えます。
制限時間内に落ち着いて解答できるように練習するようにしましょう。
一問ごとの解答時間が短い
SPIの性格検査は、約300問を制限時間内に解答しなければいけません。
解答時間は35分ですので、1問あたり7秒前後で答える必要があります。
問題に答えが存在しないとはいえ、7秒で解答するのは簡単ではないでしょう。
とにかく素早く答えなければいけないと焦ってしまい、本来の自分の意見とは異なる内容を答えてしまうこともあるかもしれません。
制限時間内で解答できるように練習しておきましょう。
SPIの性格検査を受験する方法は?
SPIの性格検査を受験するには、就職活動をおこなっている企業が用意したSPI専用Webページやテストセンターにアクセスします。
多くの場合、採用ページからリンクが貼られていることが多く、求人情報などと一緒に日程や場所についての指示がされています。
4つの受験方法のどれかを指定されているでしょう。
・Webテスティング
・オンライン会場
・ペーパーテスティング
・テストセンター
オンラインまたは会場での受験が可能ですので、受験者が選択できる場合は予約が必要になることが一般的です。
SPIの性格検査を受験するときに気を付けることは?
SPIの性格検査では、一人ひとりが個性豊かであることを踏まえ、自己評価を深く反映する解答が求められます。
他人と比較するのではなく、社会的に望ましいとされる解答をするのでもありません。
自分の本当の性格や行動傾向を正直に示すようにしましょう。
また状況に応じて異なる対応を示すことができる柔軟性も見られているため、一貫した答えを出すことにとらわれすぎないようにします。
制限時間で解答できるよう、素早く解答していきつつ丁寧に解答する姿勢が重要です。
おわりに
SPIの性格検査の前には、基本的な性格検査の形式に慣れておく必要があります。
そのためには、事前に模擬試験を受けておくことをおすすめします。
オンラインや書籍で様々な問題を反復し、オンラインで公開されている模擬試験を受けてみるとよいでしょう。
事前の練習を通じて質問の内容やテストの流れを理解しておくことで、本番でのパフォーマンス向上が期待できます。
さらに自分の性格特性を振り返り、自己理解を深めることも事前準備として必要です。
また受験当日はリラックスした状態で挑めるように、適切な睡眠や健康状態を維持することが大切です。