はじめに

現在の採用選考に関して、SPIは企業の人材評価に欠かせないツールとなっています。
国内企業の90%以上が採用プロセスに導入しているため、就職活動では避けて通れない重要な試験です。
多くの就職活動生にとってSPIは不安な存在であり、学習方法に悩む学生も多いでしょう。
この記事では、SPIに関する不安を持つ皆さんへ向けて、具体的な試験範囲と効率的な準備方法を詳しく説明します。
SPIは単に知識や計算力のチェックだけでなく、応募者の将来性や適性を広く認識する機会となっています。
対策をしっかり行うことで自分の強みを伸ばし、企業へのアピール力を高められるでしょう。
参照:就職白書2018
SPIって何?
多くの企業がSPIを採用選考における公正な評価基準として活用しています。
企業がSPIを取り入れる目的は、先行者を公平に評価し、最適な人材配置を実現することです。
試験の結果は、合否を判断する材料だけでなく、配属先の決定や教育プログラムの検討にも生かされることがあります。
就活生の一部には、SPIを採用選考通過のためのツールに過ぎないと判断している方もいますが、実際にはもっと深い意味があります。
この試験の結果だけで採用の可否が決まるわけではありません。
SPIの得点が基準を下回った場合でも、次の選考に進むケースは十分にあります。
確かに企業はSPIの結果を重視しますが、最終的な採用判断は面接や書類なども含めて、総合的に判断されます。
以下の記事では、SPIの概要から具体的な対策法まで幅広く解説していますので、ぜひ参考にしてください。
就活でよく聞くSPIってなに?SPI検査の概要と対策方法をご紹介
ほとんどの企業がSPIを導入している理由とは?
SPIはほぼすべての企業で導入されており、実施していない企業のほうが珍しい状況です。
なぜ、多くの企業がSPIを採用しているのか、具体的な理由を見ていきましょう。
SPIが一般化しているため
企業が多い理由の一つは、SPIが業界標準の評価ツールとして定着しているためです。
年間で15,500社以上の企業が活用しており、受検者数は217万人を超えています。
多様な適性検査がありますが、就職活動における評価テストとして、国内で最も広く採用されている検査です。
結果がわかりやすいため
二つ目の理由として、SPIの結果が分かりやすい報告書として提供されることが挙げられます。
データ形式で提供されるため、社内での情報共有やデータ管理が効率的になるのもメリットです。
このように、SPIは応募者の評価だけでなく、組織内で活用するにも価値の高いツールとなっています。
妥当性のある情報が得られるため
SPIは43年という長い年月をかけて蓄積してきた豊富なデータに基づいて、正確で公正な評価結果を提供してくれます。
就活生の能力を全体の平均値と比較しながら、客観的に測定できる仕組みです。
このような信頼性の高さから、多くの企業がSPIを重要な評価ツールとして採用しています。
企業の90%以上が導入するSPIは、就職活動必須の関門となります。
企業との相性を確認するため
多くの企業がSPIを採用する理由の一つは、優先者との両立を客観的に判断できる点にあります。
企業にとって、組織風土に適合しない人材を採用することは避けたい課題です。
しかし、選考や面接だけでは、相性を正確に判断することが難しくなります。
そこでSPIを活用することで、より多角的な視点から相性を評価することが可能となるのです。
入社後にミスマッチが分かるよりも、選考段階で双方の適性を見極めることが、企業側も応募者側にもメリットがあると考えられています。
SPIでは言語・非言語能力と性格特性の両面から相性を数値化して評価できるために、多くの企業が導入を進めています。
就活生の素顔を知るため
企業がSPIを実施する大きな理由として、応募者との相性を把握することが挙げられます。
企業にとって、企業風土に合わない人材の採用は避けたいと考えています。
書類や選考だけでは相性の判断が難しいため、より多角的な評価のためにSPIが活用されているわけです。
入社後のミスマッチを防ぐため、選考段階で適性を見極めることが双方にとってメリットになります。
SPIを導入することで、能力と性格の両面から相性を数値化して評価できます。
就職活動生の本質を理解するため履歴書や面接からも印象的な人にはよくわかりますが、現時点では慎重な部分があります。
本物の実力や基本的な特性を理解するには、より深い評価が必要となるでしょう。
入社後との適切な配置のため
企業がSPIを導入する目的は、採用のためだけでなく入社後の人材活用まで見据えています。
SPIの結果は、新入社員の適職適格配位の決定や育成計画を立てるために活用されているのです。
配置先を検討する際、SPIで優れた利点や特性を参考に、最適な配置を判断できます。
また人材育成の面でも、SPIのデータは重要な参考資料として機能します。
これは新入社員の直属の上司やチームリーダーとSPIの結果を共有することで、個人の特性に合わせた効果的な教育計画を立てることが可能になるためです。
SPIの結果は何に利用されるのか?
就活生にとって、SPIの結果がどのように活用されるのか気になるところです。
企業のSPI実施目的は明確であり、採用活動から入社後まで幅広く活用されています。
ただし、内定後の配属先決定や、役員への情報共有などに利用されることがあります。
具体的な活用方法について、詳しく見ていきましょう。
配属先を決めるため
個人によって得意分野と不得意分野は異なるため、SPIの結果はその特性を把握する助けとなります。
この情報は入社後の最適な配属先を決定する際にも活用されるものです。
結果に基づいて個人の特性に合った職務を決めることで、企業側も優先者側も利益を得られます。
上司との情報共有のため新たに配属される部下の特性やスキルを事前に把握することは、上司にとって重要な情報となります。
事前情報を知ることで効果的な育成方針を立てやすく、教育計画の作成にも役立つでしょう。
そのため、SPIの結果は配属先のリーダーと共有され、優秀な人材育成に活用されることがあります。
教育担当者として、一緒に働く部下の特性をしっかりと保つことは、効果的な指導につながります。
配属先の上司に知らせるため
新たに配属される部下の能力や個性を事前に理解することは非常に重要です。
部下の特性を前もって理解できていれば、適切な育成方針を立てやすく、効果的な教育計画を立てられます。
そのため、新入社員の指導を担当する上司との間で、SPIの結果が共有されることがあります。
上司の立場からすると、今後も働く後輩の特徴や強みを掴んでいくことは、効果的な人材育成を進めていく上で欠かせない要素となるでしょう。
SPIの試験内容
SPIは大きく分けて能力検査と性格検査の2つのパートで構成されています。
能力検査では知識能力が評価され、性格検査では応募者の性格や適性が測定されるのが特徴です。
それぞれの特徴について詳しく説明していきます。
能力検査とは
職場で必要とされるコミュニケーション能力や思考力を測定するのが能力検査です。
評価には言語と非言語分野の問題が用いられます。
企業によっては英語力や構造の把握力を確認する問題が追加されることもあります。
すべての受検で必ず出題されるのは、言語分野と非言語分野の問題です。
国語と数学の基礎知識の復習が重要となります。
SPIの合格ラインは企業によって異なりますが、一定の基準点をクリアする必要があります。
言語分野の問題はどんなもの?
言語分野のテスト内容は、中学校の国語テストに近い形です。
問題の難しさはそこまでなく、出題範囲は7つの大きな分野に別れています。
日常的な読書習慣が試験対策に効果的な方法となるでしょう。
本や新聞を読むことで、自然に読解力が身についていきます。
ただし、このテストでは語句の意味理解と文章の要点把握が重要な点となります。
個人の基礎学力によっては、簡単な復習だけで十分な得点を取得できる可能性もあり得るのが言語分野です。
知識の保有度に応じて、効率的な学習計画を立てることをおすすめします。
非言語分野の問題とは
非言語分野では数学的な問題が中心となります。
単純な計算問題に加えて、文章を読んで論理的に思考する力を問う問題が多く出題されます。
文章問題の多くは数学の公式を活用することで効率的に考えられます。
基本的な公式を理解していないと正解にたどり着かない問題が多々存在するのも特徴です。
仮に問題が解けたとしても、公式を使わない解決方法では時間がかかり、結果として制限時間に解き終わらないことにもなってしまいます。
性格検査
能力検査のように頭を使わない問題なので、比較的サクサク回答していけます。
基本的には質問されることに答えていくだけです。
決まった答えはないため自由に答えられます。
SPIの受け方
SPIを初めて受ける方は、SPIの受検方法に4つの種類があるのを知らない方もいるでしょう。
企業によって受検方法があらかじめ指定されています。
募集要項などを見て、志望する企業がどの受検方法かをチェックしておきましょう。
テストセンター
リクルートマネジメントソリューションズが会場とパソコンを手配し、受検者はそこへ出向いて受検します。
あるいは、自宅のパソコンからも受検可能です。
その際は受検日程を自分で選び、監督者のもとで受検することになるでしょう。
また、最新の問題が出される傾向にあります。
WEBテスティング
WEBテスティングを受けるには、インターネット環境が必須です。
受検期間が定められており、ご都合に合わせて自宅や学校から受検できます。
注意点としては、カンニング対策としてカメラ監視が存在する場合もあります。
ペーパーテスティング
アナログ的な受検方法になりますが、従来の筆記試験という形でSPIを受けることもできます。
こちらも企業がペーパーテスティングを指定した場合に利用できます。
回答はすべてマークシート方式で行うようになっており、パソコンや電卓は基本的に使えません。
特徴として、地方の中小企業や公務員試験で実施される場合があります。
計算やメモ書きはしやすいですが、解答を書く時間管理が重要です。
インハウスCBT
インハウスCBTを実施する企業は全体の1%とかなり少数です。
インハウスCBTは、企業にとってセキュリティ性が高く、自社完結でできるのが魅力です。
受検者は、その場で結果がわかり、結果を確認してすぐ面接に移行する場合もあります。
以下の記事では、インハウスCBTに利用できる電卓の選び方について紹介しています。
この機会にぜひ参考にしてください。
SPIにおすすめの電卓の選び方を紹介!選び方や電卓機の紹介まで徹底解説
SPI対策を成功させるにはどうすればいい?
多くの就活生は、SPI対策の必要性を感じながらも、具体的な対策方法がわからず悩んでいます。
SPIは難しそうに感じるかも知れませんが、実際は中学・高校レベルの内容で、大学受検ほどの難しさはありません。
そのため、基礎学力のある人にとっては簡単に感じられることもあるでしょう。
学校でしっかり学習してきた人なら、少しの復習でも高得点を狙えます。
大学受験のような長時間の猛勉強は必要ありません。
それでは、効率的なSPI対策のコツについて解説していきます。
SPI対策のコツ3つ
ここでは、SPI対策のポイントを3つにまとめています。
一つずつ要点をみていきましょう。
まずは問題を解いてみる
最初のステップは実際の問題を解いてみることです。
市販のSPI問題集から始めることで、試験の雰囲気を把握できます。
できれば1冊の問題を最後まで解くことをおすすめします。
ただし、難しすぎる問題は失敗の原因となるため、自分のレベルに合った教材を選びましょう。
弱点を対策する
SPIの学習をしていれば、必ず間違える問題や解けない問題が出てきます。
これらは自分の弱点を示しているので、適切に改善していく必要があります。
苦手分野をそのままにしては、得点アップは望めません。
ただし、誤答を過剰に気にする必要はなく、問題の本質を理解できてさえいれば確実な成長につながります。
理解した問題は繰り返し練習し、確実に解けるようになるまで取り組むことが大切です。
特に頻出問題は得点源となるため、優先的に対策しておくことが効果的です。
時間のかかる問題に強くなる
解決に時間を要する問題への対策は、得点アップの重要なポイントとなります。
SPIに不慣れな方は、制限時間内に全問を解けない場合も多いでしょう。
時間不足の原因は、一つの問題に時間をかけすぎていることにあります。
解答スピードを上げるためにも、時間のかかっている問題を重点的に練習しましょう。
練習を兼ねて時間が短縮され、総合的に得点向上が期待できます。
以下の記事では、SPIの例題を分類別に紹介しています。
どのような問題が出題されるかを把握して、対策の参考にしてください。
SPIの例題を繰り返し解こう!分野別出題形式と選考通過のコツを紹介
言語問題の対策法
言語分野では言語に関する出題が多いため、単語の意味や使い方の学習が重要です。
読解力を高めることで解決できる問題が多く含まれています。
単語の暗記だけでなく、正しい意味と使用法の習得も大切です。
また、長文問題も出題されるため、普段から新聞や小説を読んで文章に慣れておく習慣もつけておきましょう。
非言語分野の対策をするにはどうする?
非言語分野の効率的な対策には、基本公式と解法パターンの習得が近道です。
SPIの問題には定型的な解法パターンが存在します。
公式や解法パターンを基礎として学習を進めていきましょう。
ただし、すべての問題が公式で解決できるわけではないことにも注意が必要です。
以下の記事では、各非言語分野の例題なども紹介しています。
対策を立てたい方は、ぜひ参考にしてください。
英語対策の方法
TOEICの学習内容はSPI対策と重なる部分がたくさんあります。
TOEICで通用する日常生活やビジネスで使用される一般的な英語表現は、SPIの英語問題でも頻繁に出題されます。
SPIの英語は一般教養レベルであり、難しい専門用語はほとんど出題されません。
文法も大学入試ほど複雑ではなく、中学英語の基礎が理解できていれば十分対応できます。
TOEICのほうが難易度は高いため、TOEICの学習経験がある方は有利になるでしょう。
以下の記事では、英語分野の例題なども紹介しています。
対策を立てたい方は、ぜひ参考にしてください。
SPI対策の予定を立てることが大事
SPI対策を効率良く進めるためにも、スケジュール管理が大切です。
ここでは、勉強時間やいつから対策を始めるべきかについて解説しています。
どのくらいの勉強時間が必要?
SPI対策に必要な学習時間は個人差がありますが、一般的な目安として30〜60時間程度とされています。
ただし、これは参考値であり、企業の要求水準や個人の進捗状況によって変動します。
十分な学習時間を確保するためにも、早めの対策開始がおすすめです。
いつからSPI対策を始めればいいの?
3年生の12月から1月にかけて対策を始めることが先決です。
約1~2ヶ月で対策完了させることを目標にしましょう。
3月から就職活動が本格化するため、それまでにSPI対策は準備する必要があります。
就職活動開始後では他の準備に時間を取られ、十分な学習時間が確保できない可能性があります。
余裕を持った学習計画は、精神的な安定にもつながります。
以下の記事では、SPI対策が間に合わない就活生のための役立つ方法を紹介しています。
各分野毎のポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
SPI対策になるおすすめの参考書3選
ここでは、SPI対策としておすすめの3冊の参考書を紹介します。
それぞれ特徴が異なるので、ぜひご参考にしてください。
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![2026年度版 7日でできる! SPI[頻出]問題集の表紙](https://spi.jo-katsu.com/wp-content/uploads/2024/03/978-4-471-43111-2_T_1.jpg)
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参考:SPIとは?対策方法から練習問題まで大公開!全341問解説付き
以下の記事では、SPIの模擬試験を受けられるサービスを紹介しています。
これから対策していこうと考えている学生は、ぜひ参考にしてください。
SPIの模擬試験はどうすれば受けられる?オススメのサービス6選をご紹介!
まとめ
SPIは選考通過のためだけのツールではなく、企業と応募者のマッチ度を正しく判断するための重要な指標です。
入社後の人材育成にも活用される可能性がある有用なデータとなります。
対策に苦手意識を持つ方もいますが、得点が低いからといって必ずしも不合格になるとは限りません。
全体の6割以上の得点を目指すことで、十分な結果を残せます。
SPIは基礎的な内容が中心のため、適切な対策実行なら誰でも高得点を目指せるでしょう。
得点アップのためには苦手分野の克服が重要です。
この記事で紹介した問題集やWebサイトを活用し、効果的な対策を進めていきましょう。
以下の記事では、SPI試験での注意点について詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。