はじめに
今多くの企業での採用選考で、適性検査「SPI」が利用されています。
就職活動を行う上では必ず一度は受けるテストであるため、どのようなテストであるのかを理解しておく必要があります。
そこで今回は、就職活動での「SPI」とはなにか、詳しく解説します。
構造的把握力検査で高得点を狙うコツもお教えしますので、これから就職活動を行う方はぜひ参考にしてください。
「SPI」とは
SPIは、最も多くの企業で活用されている適性検査です。
「Synthetic Personality Inventory」の略称であり、リクルートマネジメントソリューション社が開発しました。
企業が採用を行う際に用いられる試験であり、就活生の能力や人となりを把握することを目的としています。
今現在国内で活用されている適性検査は約30種類ですが、中でも特にSPIが最も多くの企業で活用されているため、就職活動を進めていく中で受ける可能性が非常に高い試験と言えるでしょう。
企業はSPIを行うことで、職務や職場行動の基礎となる性格特性や基礎的な知的能力を判断し、自社と相性が良いかということを確認します。
SPIの結果は、選考と面接段階で就活生を理解するための参考情報、入社後の配属先選定のための参考情報、入社者を配属先の上司に理解してもらうための参考情報にもなるため、就職活動の第一関門として早めの対策を行いましょう。
企業がSPIを活用する目的
今多くの企業が人材の採用を行う際、適正検査や筆記試験を実施しています。
だからこそ、企業がなぜSPIを活用するのか、その目的を知っておきましょう。
企業と就活生の相性を知る
企業が人材を選定する際、就活生が自社との雰囲気や職務に合っているか、経営理念への賛同が得られそうか、ということを重視しています。
もし相性が悪い人材を採用してしまうと、早期退職になってしまい、人材の定着率の低下や無駄な採用コストがかかってしまいますし、採用者も相性が合わない職場では気持ちよく働くことができません。
SPIを活用する最大の目的は、このようなミスマッチを防ぎ、企業と就活生の相性を知るためにあるのです。
面接補助ツール
採用選考における面接の主な役割は、人物理解と評価です。
ですが面接は限られた時間であるため、就活生の人となりを理解し、評価することは難しく、また面接者によってその評価と判断にばらつきが生じやすいことがありました。
ですがSPIを面接補助ツールとして活用することで、履歴書やES、面接だけでは見極めにくい、就活生の性格特性を正しく捉えることができます。
これらの情報を補うことで、短期間でも就活生の人となりをより的確に把握することができるのです。
入社後の配属先を決める
SPIは採用過程において非常に重要な役割がありますが、入社後の配属先を決めるためにも活用されます。
配属先の部署やチームの雰囲気を考慮し、どこに配属すればその人材がより活躍することができるのか、ということを見極めます。
SPIにより就活生の性格特性や知的効能を把握し、その人の力を最大限発揮することができる配属先を検討することができ、また就活生にとっても自分に合った部署に配属されることで、仕事に対する満足度を高めることができます。
SPIの検査内容
SPIの検査には、大きく二つに分けて「性格検査」と「能力検査」があります。
それぞれの検査内容を詳しく解説します。
性格検査
性格検査で測定することは、その人の性格や人との接し方、仕事への取り組み方など、人となりに関する性格、特徴です。
性格検査の質問は約300問で回答時間は30~40分で、物事に対する考え方、人に対する考え方、目標に自分がどれくらい当てはまるのか、ということを選択します。
性格検査の結果は、企業の業務内容や雰囲気に合うか、どの部署への配属が適しているか、ということの判断材料になります。
また、回答者にとっても入社後長く活躍することができるか、自分に合った職務や環境であるか、ということを見極めるために行われているため、自分の気持ちに素直に回答することが望ましいでしょう。
質問の中には嘘をついていないか、ということを確かめる仕組みが組み込まれているため、企業が求める人物像に合わせて、故意に自分をよく見せようとしてしまうと、マイナスな印象を与えかねません。
正直に回答することを心がけ、時間内に最後まで解答できるようにどんどん進めていきましょう。
能力検査
能力検査で測定することは、その人の言語力や計算力といった基礎学力、論理的思考力、一般常識などがどれくらい身に付いているかという、その人の知的能力です。
基本的には「言語分野」と「非言語分野」により構成されていますが、企業によっては「英語力」や「構造的把握力」を実施している場合があります。
能力検査での言語分野、非言語分野共に、思考力を試す問題が多く出題され、よく考えた上での解答が求められるため、門d内に対する考え方や解き方を理解しておかなければなりません。
難易度はそこまで高くないため、問題の傾向を知り、徹底した対策を行うことで高得点を得ることができます。
構造的把握力検査で高得点を狙うコツ
就職活動を行いSPIの適正検査に注力していると、構造的把握力検査の対策に課題を持たれる方が多いのではないでしょうか。
そもそも構造的把握力検査とは何か、正しく理解していないこともあるでしょう。
構造的把握力検査とはなにか、高得点を狙うコツを解説します。
「構造的把握力検査」とは
構造的把握力検査とは、小学校や中学校レベルの文章を読み解き、構造が似ているものを分類するというテストです。
テストの種類は二種類あり、国語系の文章を読み解く「言語系」、算数系の文章を読み解く「非言語系」で、どちらにもパターンがあります。
難易度は決して高くなく、出来るだけ多くの問題に触れ、慣れておくことが重要です。
現状、情報把握力検査に関する情報や対策本が非常に少ないのですが、このテストを正しく理解し対策することで、他の就活生との差をつけることができます。
構造的把握力検査の種類
構造的把握力検査には、「言語系」「非言語系」の二種類があります。
それぞれどのようなテストか、詳しく解説します。
言語系
言語系は、異なる内容の文章を仕分けするテストです。
5つの文章を論理性に基づいてグループに分け、文の構造によって分類するもの、会話形式の文章からその間違いを分類するものがあります。
仕分けのパターンは複数あるため、出来るだけ多くの例題に触れて慣れることが大切です。
非言語系
非言語系は、計算の構造が似ている文章を仕分けするテストです。
4つの計算問題を読み解きながら、計算プロセスが同じものをグループに分けます。
実際に計算して答えを導き出す必要はなく、言語系と同じようにできるだけ多くの例題に触れて慣れ、多くのパターンを経験することが大切です。
企業が構造的把握力検査を行う目的
企業はどのような目的をもって、構造的把握力検査を行うのでしょうか。
目的を理解しておくことで、より対策の意識を強く持つことができるため、覚えておきましょう。
未経験の問題に対する対応力を見るため
就職し業務を行う上で、時には未経験の問題に直面することがあるでしょう。
この場合、過去の経験から共通の項目を見つけられる人であれば、問題解決の糸口を見つけることができます。
構造的把握力検査を通すことで、業務で問題が起きた場合の解決力がわかり、対応できる人材であれば、常に冷静に問題を解決する力があると期待できます。
構造的把握力検査の結果は、業務全体を俯瞰して問題の要点を抽出し、解決できる力があるか、ということの判断材料にもなるため、仕事をスピーディに正確にこなす能力があるか、ということを見定めることもできます。
新しい発想力があるかを見るため
企業が新しく採用する人材に対し求めることは、「新しい発想力」です。
企業は業績を向上させるために、常に変化する時代の流れと顧客ニーズに合わせた、競合他社とは異なる新しいビジネスアイデアを求めています。
既存の枠組みから他のサービスモデルに転用できるポイントを導き出したり、現状整理、多様な顧客ニーズに対応する能力が、今後さらに必要になるため、このような基礎的能力があるかということを見定めようとしています。
合意形成能力を見るため
企業は就活生に対し、合意形成能力があるかということを見定めるために、構造的把握力検査の結果を参考にします。
合意形成能力とは、商談や会議の場で意見が食い違う場面に直面した場合、互いの意見を双方が納得のいく形で一致させる能力のことであり、この能力は幅広い業界で活用できます。
相手の話を理解して整理する能力、意見を抽出化する能力は、業務を行う上で非常に重要な能力であり、この合意形成能力を見ることを目的としています。
構造的把握力検査で高得点を狙うコツ
構造的把握力検査で高得点を狙うには、多くの例題に触れることはもちろんですが、覚えておくべきコツがあります。
事前に対策をすれば、誰でも高得点を狙える検査であるため、これらを意識して日常的に取り組んでみてください。
具体と抽象を行き来する思考力を培う
構造的把握力を高めるためには、具体と抽象を行き来する思考力が大切です。
具体的にはどのような思考力なのかというと、複数の情報内に共通しているパターンを見つけ、そこから法則や知恵を導き出す力です。
そしてその逆である、抽象から具体への思考力は、抽象的な法則や知恵から具体的な成果を生み出す力です。
これら両方をバランスよく培うことが重要であるため、日常的に「Why(なぜ)」「How、What(どうやって)」ということを深掘りしましょう。
双方を柔軟に意識して思考力を高めていくことは、構造的把握力検査に有効です。
論理的に文章を整理する力を培う
構造的把握力を高めるためには、論理的に文章を整理する力も重要です。
与えられた情報から必要な情報を見つけ、その文章を整理分析を行うことで、論理的に問題を解くことができます。
この力を培うコツは、先入観にとらわれないこと、問いを分解すること、抽象的な言葉を具体的な言葉に言い換えることです。
問題を解く際はもちろんですが、日常生活において意識しながら生活することで、論理的に整理する能力を身に付けることができます。
SPI対策本で例題を解く
基本的に構造的把握力検査は、国語や算数の問題と似ているものの、特殊な問題形式で出題されるため、SPI対策本で例題を解き、どのような傾向のテストであるのかを理解しておきましょう。
構造的把握力検査の攻略ブックも販売されており、インターネット上にも例題が掲載されているWebサイトがあるため、それらを参考にしてください。
攻略ブックにもなる対策本は何冊もこなすのではなく、1冊の対策本に集中して完璧に解けるように徹底することがおすすめです。
問題のパターン化を覚える
構造的把握力検査は、問題のパターン化を覚えることも重要なコツです。
問題のパターン化を覚えることで、解答への時間を大幅に短縮することができます。
言語系であれば「過去と未来」、「賛成・肯定と反対・否定」、「主観と客観」、非現実系であれば「割合」「確立」「組み合わせ」です。
非言語系に関しては、流水算や出会い算、旅人算もパターン化して覚えておくと、スピードアップに繋がります。
パターン化の覚え方のコツとしては、パターンが非常に多いため、解法のみを覚えようとしても中々難しいです。
解法と例題をセットにして覚え、イメージが湧きやすいようにしておきましょう。
解法が覚えられないという場合は、覚えるまで繰り返し例題を解くようにしてください。
制限時間内に解けるようになるまで演習する
構造的把握力検査は、約20分間で約20問を解かなければなりません。
つまり1問につき1分程度で解く必要があり、正確さとスピードが重要です。
より多くの問題を解き、素早く解くことに慣れていく中で、自分の苦手分野を把握しましょう。
苦手分野を見つけることができれば、なぜ間違えたのか、どのような問題を重点的に訓練すれば良いのか、という解決策を見つけ、演習しましょう。
焦らず落ち着いて向き合うためにも、リアルを想定した練習と、メモの活用が大切です。
本番の環境に目を慣らしておくこと、落ち着いてメモをし、余計なロスタイムを生まないことが構造的把握力検査攻略のポイントです。
まとめ
以上、就職活動での「SPI」とはなにか、構造的把握力検査で高得点を狙うコツについて詳しく解説しました。
SPIは、就活生と企業が互いに理解するための採用活動サポートツールです。
「個を大切に育てる」「人材の多様化」が挙げられる今の時代だからこそ、ほとんどの企業が導入している検査であるため、より自分に合った業務に就くためにもぜひこの記事を参考に、SPIを十分に理解してください。