はじめに
SPIを対策するにあたり、問題を解いて傾向や対策法を知っておくことは重要です。
特に過去問を使って対策していくことで、実際に出題される問題の雰囲気や、覚えておくべき解法のパターンを把握できるでしょう。
ここでは、SPIの過去問や例題を参考にしながらSPIの問題の種類や対策法について解説します。
今回の記事は、以下のような就活生やSPI受検者を対象にしています。
・SPIの問題の種類やそれぞれの対策法について知りたい
・SPIの過去問を解きながら、出題される問題傾向を知りたい
SPIの過去問や例題を解きながら、本記事を参考にSPI対策をしていきましょう。
SPIの過去問を解く重要性について
SPI対策には過去問を解くことが重要になります。
その理由は、苦手な分野を把握できるからです。
SPIの過去問を解くことで、自分の得意・苦手分野を把握し、苦手分野の解き方を覚えてしまうことがSPI高得点への近道となるでしょう。
特に非言語問題に関しては、解法さえ把握しておけば同じパターンの出題が多いため、対策しやすいです。
解法を理解したら問題集を繰り返し解きましょう。
そして過去問に再挑戦し、苦手な分野を見つけて重点的に対策してください。
このサイクルで対策していくことをおすすめします。
【過去問・例題つき】SPIの問題の種類と対策
SPIの能力試験は、言語問題、非言語問題、構造的把握力検査、英語の4つの科目で大きく構成されています。
このうち、構造的把握力検査と英語はオプション検査となり、実施する企業としない企業とがあります。
こちらの章では、共通科目の言語・非言語問題の特徴と実際の例題を用いながら解説していきます。
言語問題
言語問題は、国語の問題で構成されています。
文章を理解する読解力や語彙力が問われる問題が出題され、出題形式は他の科目と比較しSPI独特な問題が多い傾向です。
そのため、問題形式に慣れていなければ、制限時間内に解けないことが可能性が高い科目といえます。
言語問題は、以下の6つの種類で構成されています。
・二語の関係
・語句の意味
・語句の用法
・文章の整序
・空欄補充
・長文読解
それでは、それぞれ例題を用いながら解説していきます。
例題① 二語の関係
【問題】
設問で示された二語の関係を考えて、それと対応する関係となるように( )に当てはまる語句を選びなさい。
演説:マイクロフォン
視聴:( )
A. テレビ
B. ラジオ
C. 楽器
D. ヘッドフォン
E. スピーカー
【解答】
正解:A
演説にはマイクロフォンが用いられる。同様に視聴にはテレビなどの視聴器具が用いられる。
例題② 語句の意味
【問題】
下線部の言葉と、意味が合致するものを1つ選びなさい。
物事に対して深く考えず、表面的な理解しかしていない様子
A. 表層的
B. 深遠
C. 精密
D. 粗放
E. 軽薄
【解答】
正解:A
用例
表層的→彼の議論は常に表層的で、深い分析が欠けている。
深遠→深くて広い
精密→細かく正確
粗放→大雑把
軽薄→軽くて浅はか
例題③ 語句の用法
【問題】
下線部の語句が最も近い意味で使われているものを以下の選択肢1〜5の中から1つ選びなさい。
新しいプログラムを学ぶのは難しい
A. この仕事を理解するのは容易だ
B. その本を読むのは面白い
C. 彼と話すのは楽しい
D. この問題を解決するのは複雑だ
E. 彼女と協力するのは有益だ
【解答】
正解:D
D. この問題を解決するのは複雑だ
「〜するのは〜だ」は行為の特性を表す用法で、Dが一致。Aは~するのは容易だ(容易)、BとCは ~のは面白い、~のは楽しい(楽しさ)、Eは~するのは有益だ(有益)
例題④ 文章の整序
【問題】
AからEの文を[1]から[5]に入れて文の意味が通るようにしたとき、[2]に当てはまるものを選びなさい。
彼は若い時に[1][2][3][4][5]そして、自分自身についても深く理解することができた。
A その経験から彼は多くを学び
B 色々な国を旅して
C 世界には様々な文化が存在することを知った
D 一人で
E 異なる人々と出会うことができた
A. A
B. B
C. C
D. D
E. E
【解答】
正解:B
まず彼は若い時にから来る文節は時代的背景から始まりますのでDから始まりB→Eで旅の経験した事が表現されます。さらにその経験を活かすためA→Cの流れで具体的な旅の文章となります。正しい順番は、DBEAC。
例題⑤ 空欄補充
【問題】文中の()に入る最も適切な表現をA~Eの中から1つ選びなさい。
この地域の伝統的な( )は、数百年にわたって受け継がれてきた。
A.文化
B.技術
C.祭事
D.語学
E.風習
【解答】
正解:E
文中の「この地域の伝統的な」というフレーズから、地域の伝統に関連する適切な漢字を選ぶ必要があります。「風習」は地域の伝統や慣習を表すのに適した単語です。他の選択肢(文化、技術、祭事、語学)も地域の特徴を示す単語ですが、文脈において「伝統的な風習」が最も自然に当てはまります。
例題⑥ 長文読解
【問題】以下の文章を読み、問いに答えなさい。
デジタル化の進展は、教育分野にも大きな変化をもたらしている。伝統的な教室での学びとは異なり、オンライン教育は時間や場所の制約を超え、多様な学習スタイルを可能にしている。オンライン教育の普及は、特に遠隔地に住む学生や、時間的制約がある学生にとって、大きな恩恵をもたらしている。
しかし、オンライン教育には課題も存在する。技術的な問題やアクセスの不平等は、オンライン教育の普及における大きな障壁となっている。インターネット接続の品質やデジタルデバイスの利用可能性は、地域や経済状況によって大きく異なり、これが教育の機会に格差を生むことになる。また、オンライン学習に必要な自己管理能力や自律性は、すべての学生に備わっているわけではない。
加えて、オンライン教育の普及は、教師の役割にも影響を及ぼしている。教師は、オンラインでの授業の設計や運営において新たなスキルを身につける必要がある。オンライン授業では、学生の参加を促進し、学習成果を確実にするために、より工夫が求められる。しかしながら、オンライン教育における教師の役割の変化に対する十分な研修やサポートが提供されていない場合が多い。
未来の教育においては、オンライン教育と伝統的な教室教育の融合が期待されている。いわゆるブレンデッドラーニングと呼ばれるこのアプローチは、オンライン教育の利点と教室での対面学習の利点を組み合わせることを目指している。これにより、学習の効果を最大化し、教育の格差を減少させることができると期待されている。しかし、このような教育システムの実現には、適切な技術基盤の整備、教師の研修、教育内容の革新が必要である。
【設問】
1.オンライン教育が伝統的な教室教育と異なる点は何ですか?
ア:オンライン教育では、時間や場所に縛られずに学習することが可能であり、伝統的な教室教育よりも学習スタイルが柔軟です。
イ:オンライン教育はデジタルツールを活用し、インタラクティブな学習体験を提供することが多いが、伝統的な教室教育では対面での直接的なやりとりが中心です。
ウ:オンライン教育では主に数学や科学の授業が提供され、文系科目は伝統的な教室教育でのみ行われる。
A. アだけ
B. イだけ
C. ウだけ
D. アとイ
E. アとウ
F. イとウ
【解答】
正解:D
ア(正解)はオンライン教育の最大の利点の一つは、その柔軟性です。学生は自宅や他の場所から、自分のスケジュールに合わせて授業を受けることができます。これは、特定の時間に特定の場所で行われる伝統的な教室教育とは大きく異なります。
イ(正解)はオンライン教育では、ビデオ講義、インタラクティブなクイズ、ディスカッションフォーラムなど、多様なデジタルツールが使用されます。これにより、学生はより積極的に学習に参加し、個々の理解度に応じた学習が可能になります。これは、伝統的な教室での一方向的な授業形式とは異なる点です。
ウ、この回答は誤っています。オンライン教育は数学や科学に限定されず、文系科目を含む幅広い分野で提供されています。文系科目もデジタル教育のプラットフォームで効果的に教えられており、オンラインと伝統的な教室教育の間に科目別の区分は存在しません。
非言語問題
非言語問題は、数学の問題で構成されています。
基本的な計算問題から、表から情報を読み取っていく問題、与えられた情報から読み解く推論が出題されます。
数的処理能力や論理的思考力が問われる問題で構成されており、公式やパターンを暗記することで得点アップが期待できます。
非言語問題は、大きく分けて以下7つの種類で構成されています。
・割合
・推論
・図表読み取り
・集合
・確率
・場合の数
・金額計算
それぞれの例題を紹介していきます。
例題① 割合
【問題】
ある中学では、東京への修学旅行の際に1日目と2日目の行き先をそれぞれ選択肢の中から選べる。選択肢は、皇居、浅草寺、東京タワー、銀座、お台場である。下の表は、ある学年の生徒300人の選択状況を示したもののうち一部を示したものである。例えば、1日目に皇居に、2日目に東京タワーへ行くことを選んだ人は24人いる。
1日目に皇居に行った生徒のうち40%が2日目にお台場を選んだということがわかった。その人数を求めよ。
選択肢
A 16
B 24
C 32
D 36
皇居 | 浅草寺 | 東京タワー | お台場 | 合計 | |
皇居 | 2 | 16 | 22 | 30 | 70 |
浅草寺 | 22 | ( ) | 12 | 28 | 65 |
東京タワー | 24 | ( ) | 8 | 33 | 77 |
お台場 | ( ) | ( ) | ( ) | 8 | ( ) |
合計 | ( ) | 48 | ( ) | 99 | 300 |
【解答】
正解:C
1日目に皇居に行った生徒数をxとおくと、問題文より2+22+24+0.4x=xの公式ができる。これを解くとx=80。正解は0.4x=32のCとなる。
皇居 | 浅草寺 | 東京タワー | お台場 | 合計 | |
皇居 | 2 | 16 | 22 | 30 | 70 |
浅草寺 | 22 | (3) | 12 | 28 | 65 |
東京タワー | 24 | (12) | 8 | 33 | 77 |
お台場 | (32) | (17) | (31) | 8 | (88) |
合計 | (80) | 48 | (73) | 99 | 300 |
例題② 推論
【問題】
P、Q、R、Sの4人兄弟がいた。4人の年齢に関して次のことが分かっている。
Ⅰ 4人合わせて32歳である。
Ⅱ PとQは同じ年齢である。
Ⅲ RはPよりも2歳年上である。
Sが12歳であるとき、Rは何歳であるか。
選択肢
A. 4歳
B. 6歳
C. 8歳
D. 10歳
E. 12歳
【解答】
正解:C
Ⅱ、Ⅲの情報から、P=xとおくと、Q=x 、R=x+2となる。
さらにⅠの情報より年数の和は32で、Sは12歳だから、x + x +x + 2= 32-12 より、x=6であり、Rは8歳。
例題③ 図表読み取り
【問題】
県X、Y、Zの1年間の交通事故にあった人を数えた。
表1は年齢別に人数を集計したもの、表2は県X、Y、Zにおけるそれぞれの事故にあった人の割合を示したものである。
12歳以下が事故にあった割合が最も高い県を選べ。
表1
(横軸が年齢、縦軸が県)
12歳以下 | 13歳-18歳 | 19歳-25歳 | 26歳-59歳 | 60歳以上 | |
X県 | 28 | 33 | 98 | 262 | 209 |
Y県 | 30 | 42 | 88 | 349 | 184 |
Z県 | 51 | 32 | 107 | 288 | 299 |
表2(横軸が県)
X県 | Y県 | Z県 | |
事故にあった人数の割合(%) | 30% | 33% | 37% |
選択肢
A.X
B.Y
C.Z
D.表から読み取ることはできない
【解答】
正解:C
X県の事故にあった人数の総数は630人。うち28人が12歳以下なので、その割合は0.0444で約4.4%
Y県の事故にあった人数の総数は630÷0.3×0.33=693人。うち30人が12歳以下なので、その割合は0.0432で約4.3%
Z県の事故にあった人数の総数は630÷0.3×0.37=777人。うち51人が12歳以下なので、その割合は0.0656で約6.6%。
Z県が一番多い。
例題④ 集合
【問題】
ある小学校5年生を対象とした体力テストがあった。生徒50人のうち、50m走で9秒未満で走ったのは24人で、立ち幅跳びで150cm以上を飛んだ子は20人いた。
50m走で9秒以上のタイムを要した生徒と立ち幅跳びで150cm未満の記録だった子の人数は50m走で9秒未満で走り、かつ立ち幅跳びで150cm以上の記録だった子の2倍の人数いたとする。50m走で9秒未満で走り、かつ立ち幅跳びで150cm以上の記録だった子の人数はいくらか。
選択肢
A 5人
B 6人
C 7人
D 8人
【解答】
正解:B
50m走で9秒未満で走り、かつ立ち幅跳びで150cm以上の記録だった子の人数をx人とおく
図より24+20-x+2x = 50 が成り立つ。この方程式を解くと、x = 6となるので求めるべき人数は6人。
例題⑤ 確率
【問題】
プロバスケットボール選手カードとプロサッカー選手カードが両方ランダムに入っている一つの袋がある。入っている割合は65:35で、プロバスケットボール選手カードの12%、プロサッカー選手カードの18%にはサイン入りのレアカードが入っている。この中からランダムに1個ずつを取り出して、再び袋に戻すことを繰り返す。この条件において以下の問いに答えよ。
2回取り出して1回もレアカードが出ない確率を求めよ。ただし必要に応じて小数点以下は四捨五入せよ。
選択肢
72%
74%
79%
80%
◎解答
正解:B
プロバスケットボール選手カードは65%、プロサッカー選手カードが35%入っている。
プロバスケットボール選手カードのレアカードでないものが出る確率は88%で、プロサッカー選手カードのサインなしの確率は82%
1回取り出してレアカードなしとなる確率は、65%x88% + 35%x82% = 0.572+0.287 = 0.859
であり、2回ともレアカードが出ない確率は、
0.859×0.859=0.737881
したがって74%が正解となる。
例題⑥ 場合の数
【問題】
箱の中にはそれぞれ赤色、青色、緑色のボールがたくさん入っている。この中から2つのボールをランダムに取り出すときの選び方は何通りか。ただし、同じ色のボールの区別はつかないものとする。
選択肢
A.3
B.6
C.9
D.12
【解答】
正解:B
2つ同じ色のボールを取り出す場合と、違う色のボールを取り出す場合で場合分けする。
同じ場合:色は3種類なので3通り。
違う場合:3種類の色から2つ選ぶので、
3C2= 3通り。
以上より3+3= 6通り。
例題⑦ 金額計算
【問題】
ある商品の仕入れ値は1個あたり80円である。しかしまとめて仕入れる場合は割引がある。
51個目から100個目については1個70円、101個目以降は1個60円となる。
この商品を125個まとめて仕入れる場合の仕入れ総額を求めよ。
選択肢
A.7,500円
B.8,500円
C.9,000円
D.9,500円
E.10,000円
◎解答
正解:C
125個仕入れる商品のうち
1個目から50個目は80円/個、
51個目〜100個目の50個は70円/個、
101個目〜125個目の25個は60円/個である。
よって
80×50+70×50+25X60=4,000+3,500+1,500=9,000円
まとめ
本記事では、SPIの過去問や例題を用いながら、言語問題・非言語問題の種類や、それぞれの対策法について解説してきました。
言語問題は国語の問題で構成されており、SPI独特の出題方法に慣れる必要があります。
非言語問題は数学の問題で構成されており、公式を暗記し、解法を理解することで得点アップへと繋がるでしょう。
どちらの問題も、SPIの過去問をあらかじめ解くことで、解法や出題される問題傾向を掴むことができ対策しやすくなると考えられます。
ぜひ本記事をご参考に、SPIの過去問に挑戦してください。
自信をもって本番に挑めるように祈ってます!